駐在員のキャリアデザイン

駐在員の転職・キャリアを考えるヒントにして頂くブログ

英語力だけの人材はもう価値がないかもしれない

こんにちは、Keyです。 以前は日系企業で海外駐在をしていましたが、駐在中に転職を行い、現在は経営コンサルティングファームに勤めています。

今回は、英語と人材評価についてのお話です。駐在経験者の一つの武器として、語学力を上げられるケースは多いと思います。そしてそれは間違いありません。ただ、一方で、最近採用や転職エージェントに話を聞くと、英語力だけの人材の価値が下がっているのではと思うことがあります。駐在経験者のキャリアにとってもかかわりが深いと思いますので、ご参考までにご覧になってください。 

 

一定の英語力はデフォルトになりつつある

ここ1-2年コンサルファームでは中途採用をかなり拡大しています。MckやBainは知りませんが、BCGなどTop Tierの戦略ファームでも相当人を増やしているみたいです。私の所属するファームでも、毎月のように人が入ってきており、もはや全体MTGに参加すると、毎回知らない人だらけの様相です。

私のいるファームは、(おそらく)英語はじめとする語学能力はMust to haveではなく、Better to haveなのですが、パートナー曰く、最近採用した9割がTOEIC900オーバーであると言っていました。私も4年駐在していながら、TOEICは950いかないくらいなので、外面的な英語力ではほとんど競争優位がないな、と感じています。とは言いつつも、全員帰国子女だったり、駐在・留学したりしているわけではないようなので、実運用能力とは異なるわけで、差分がないわけではないとは思ってます。

また、外国人の同僚が増えていることも要因の一つです。最近入ってくる方の、三人に一人くらいが海外の方ですね(大体の場合で日本語もできる)。彼らは海外大学を卒業したり、外資で海外で働いていたケースが多く、英語プラスアルファで中国語や韓国語、フランス語なんかもできたりするマルチリンガルなので語学力では正直歯が立ちません。

『英語はできるけどXXだからな・・・』

一方で、最近私がアサイン予定のプロジェクトは、海外での事業開発みたいなものがテーマでした。ジュニアなスタッフを一人つけるということで、英語ができるスタッフをパートナーに要求したのですが、二言目には『英語力はあるんだけど、ファシリ力が・・・』とか『コミュニケーションがまだいまいちで・・・』など、なかなか適切なスタッフがつかない状況が続いています。つまり、英語ができて仕事が十分できる、という人は、それなりの経歴が多いコンサルティングファームにおいてもそこまで多くないということです。(外資戦略Tier-1ファームでは、両方兼ね備えている人しかいないかもしれませんが・・)。つまり、駐在員として培った何かしらのスキルやナレッジ+語学力+汎用的ビジネススキルがあれば、そこには強い競争優位があるようです。一見、英語ができると、それっぽく仕事をしているように見える輩もおりますが、大したこと言ってなかったり、ロジックやプロジェクトマネジメントがおかしかったり、ファシリテーションが弱かったり、意外と粗があります。

また、先述した外国人の同僚に関しては、頭良くて英語もできますが、日本人大企業特有のコミュニケーションはさすがに身に着けていない人も多く、また、それまでの経歴などで自信があるゆえに、異常に我が強い人が多いです。コンサルタントなんてみんな自信過剰なやつばかりじゃないのかといわれますが、我々もサービス業であり、かつクライアントの殆どは純然たる日本の大企業ですから、一歩引いて空気や行間を読める能力は極めて重要です(プロジェクト推進上、あえて読んだうえで無視することはありますが)。その点で、バリキャリマルチリンガル外国人よりも、英語それなりにできて、頭もよく、空気読めるコミュ力高い元駐在員の方(=自画自賛ですが・・)がはるかに重宝されたりするわけです。

 

スキル+英語は鬼に金棒

 まとめますと、駐在経験者のように汎用的なビジネススキルセットに加えて、専門性+英語もできれば、キャリア形成上、ほとんど怖いものはないと思われます。コンサルティングファームや事業会社、外資内資の区別なく、これがマイナス評価に働く業種はないでしょう。私自身も、駐在前に登録していたエージェントからの照会案件は、前職と近しい業種・職種もしくは、という文脈がほとんどでしたが、駐在経験後は、海外マーケティングや、外資大手IT企業から直接オファーが来るようになりました。コンサルティングファームでの事業戦略や新規事業策定の経験を加えた最近では、『海外での新規事業立ち上げ責任者』『欧州マーケティング部の責任者』『海外事業戦略を考える経営企画』など、経営戦略×英語・グローバルという引き合いが増えており、人材の市場価値は上がっているのかな、と思ったりします。どんな仕事であれ、駐在経験者の皆様は、英語(グローバル)は問題ないと思いますので、あとはそれにプラスアルファできるビジネススキル面や専門性に自信があれば、今後くいっぱぐれることはまずないかと思います。社内での異動や、転職を考えの場合はご自身のメンターに相談するなり、転職エージェントに相談するなりで一度棚卸してみることをお勧めします。

ちなみに以前、駐在経験者転職市場価値を書いた記事は以下です。ご参考までに。

chuzaicareer.hatenablog.com