「働くひとのためのキャリア・デザイン」はキャリアに悩む人への処方箋
こんにちは、Keyです。
私は駐在中に転職しましたが、当時とても自分のキャリア形成に悩みました。
そんななかで、キャリアに関する書籍を読み漁りましたが(駐在中なので、一時帰国のときにたくさん買った)非常に参考になった書籍の一つが、金井壽宏先生の「働くひとのためのキャリア・デザイン」でした。
本書をベースに、キャリアをデザインする、ということについて私なりの意見を書きたいと思います。
キャリアをデザインするってどういうこと
そもそも、キャリアなんて自分でデザイン出来るの?というのが私の疑問でした。
もちろん転職をすれば、自分で選択したことになるのでしょうが、キャリア形成というのは、必ずしも会社を移ることではないはずです。
むしろ、今いる会社の中で「どう自分のより良いキャリアを作っていくか」がまず優先されるべき選択肢で、その上で、どの選択肢をとっても自分の目指すキャリア像に繋がらない場合に、転職や、場合によっては起業という選択肢を取るのが一般的ではないでしょうか。
しかしゼネラリストを要請する日本の大企業では、キャリアの決定権を持つのは、自分でなく会社の場合がほとんどです。公募制度があっても、タイミングや部門の需要・供給に左右されるため、自分で選択できる幅は極めて限られています。だったら自分で考える意味なんてあるの?と。考えても意味ないんじゃないの?と。
この点について、金井先生は本書で繰り返しこう仰っています。
せめて節目だと感じるときだけは、キャリアの問題を考えてデザインするようにしたい。(中略)節目さえしっかりデザインすれば、あとは流されるのも、可能性の幅をかえって広げてくれるので、OKだろう
つまり、(特に日本の会社は)全部が全部コントロールできるわけじゃない。毎朝歯を磨きながら、キャリアをどうしよう、なんて考える必要なんてない。だけど、いざ大きな分かれ道が目の前に現れたときに、流されるのではなく、自分で選べるように頭を鍛えておこう、行きたい道を考えておこう。あとは、流されて偶然を楽しんだって良いんだ。それがデザインするということなんだ。
という風に私は理解しました。
じゃあ何がしたいの?と問われたときに
そんなこと、もう考えてるよ!毎年人事考査の際にも聞かれるし!と思われた方に、本書から引用して3つ質問です。
①自分は何が得意か?
②自分はいったいなにがやりたいのか?
③どのようなことをやっている自分なら、意味を感じ、社会に役立っていると実感できるのか?
即答できますか?
もしできたらなら、その人はきちんと軸を持ってキャリアをデザインできている方だと思います。でも、殆どの人はできないんじゃないでしょうか。
ちなみにこれは、MITのシャイン教授という方が、考えたキャリアを検討する上で重要な3つの問いだそうです。
「もっと給料あげたい」とか「インドじゃなくてシンガポール勤務がいい」とか、そいう表層的な点は考えても根っこの部分を考えるというのは、しんどいですし、さぼりがちです。ですが、こういう根っこの価値観を考えることが、転職した方が良いのか、自社で頑張った方が良いのか、などキャリア選択をする際の羅針盤になるはずです。
ちなみに当時は私も全然こたえが出せませんでした。
今の私が答えるならば、下記のようなかんじです。
①ゴール思考、逆算して計画的に努力ができること
②社会的に自分で価値があると思える課題の解決がしたい。特に元気のない日本の産業を変えたい
③自分の仕事の成果だけでなく、そのプロセスを通じて周り(チームやクライアント)に良い影響が与えられていると感じるとき
最後に、この本でも引用している「不思議の国のアリス」の一節が、示唆にとんでいるのではっておきます。
(アリスは、猫に次のように訪ねた)
「あのう、わたくし、ここからどの道を行けばいいか、教えていただきたいんですけど」
「そりゃ、あんたがどこに行きたいかによるわな」と猫は答えた。
「どこだっていいんですけど・・・」
「そんなら、どの道だってかまわんだろ」
「・・・どっかへ行きつけさえすればね」アリスがいいそえると、猫は猫で、
「あっ、そりゃ行きつけらあ。ちゃんと歩きつづけて行きさえすりゃあね」
そりゃ当然じゃないの、とアリスは思い、こんどはほかのことをきいてみることにした。
この金井先生の本は、デザインするためのフレームワークを色々と紹介してくれていますので、上記のような「アリス状態」の方には、非常におすすめです。